秋の味覚・青森県産 紅玉のカスタードアップルパイに想いをのせて
毎年秋に登場し、コーヒーとの相性も抜群でこのシーズンを楽しみにしてくださっているお客様も多いアップルパイ。今年はアップルパイの開発から10年目を迎えます。少しずつリニューアルを加えて進化し続け、今年9月1日(金)に登場するのが青森県産の紅玉りんごを100%使用した「青森県産 紅玉のカスタードアップルパイ」です。商品開発本部の近藤さんにそのおいしさのヒミツを聞きました。
希少な青森県産・紅玉100%のアップルパイ
スターバックスで紅玉100%のアップルパイが登場するようになったのは、2018年のこと。近藤さんは「紅玉100%で作るのは念願でした」と言います。
紅玉は1個230gほどの小ぶりのりんごで、甘味と酸味のバランスが良く、煮崩れしにくいことからお菓子作りに人気の品種です。しかし実は紅玉はとても希少な品種。りんご生産量日本一を誇る青森県では約50種類の品種が生産されています。しかし農林水産省の統計によると品種別生産量は約5割を占めるふじに対し、紅玉は陸奥やデリシャスなどを含む「その他」としても2割強ほど。全国に1800店舗を展開するスターバックスが全店舗にいきわたる量の紅玉を入手することは簡単なことではありませんでした。
「毎年、アップルパイを販売し続けるなかで、りんごや原料の生産に関わる青森の方々と信頼関係ができ、100%でお届けできるようになりました」と近藤さん。
青森のりんごの魅力は、おいしさはもちろんのこと、りんごに関わる人たちの総合力の高さだと近藤さんは語ります。
「おいしいりんごを作る生産者の方、特殊な貯蔵庫でりんごをおいしい状態に管理してくださる皆さま、スターバックスが求める糖度や食感に合わせてりんごをプレザーブ(シロップ漬け)に加工してくださる加工会社の技術力…このアップルパイはスターバックスだけではなく、関わっている方々の力が大きいんです」
おいしさにみんなが笑顔になるアップルパイを目指して
近藤さんは「訪れるお客様だれひとりとして残念な思いをさせたくない」という想いを胸に商品開発をしていると言います。
「テストキッチンでレシピがいくら上手にできても、それをうまく量産できないといけません。1回のご来店がそのお客様とスイーツとの出合い。ケーキの1カット1カットが、ベストの状態を保てるレシピを考え、どのお客様にも喜んでいただけるようにしたいと心がけています」
今年の「青森県産 紅玉のカスタードアップルパイ」は、実は昨年と同じレシピです。
「昨年とても好評だったので、あえてそのまま出すことにしました。同じ味が帰ってきたことを喜んでいただければと思います」
目指したのは、“ご褒美感のあるケーキ”にすることです。
「りんごをしっかり味わえつつも前に出すぎず、脇役のカスタード、シナモンやナツメグなどのスパイス、キャラメルフィリング、パイ生地がりんごの味わいを引き立たせるバランスにこだわりました」
そして驚くのは、パイ生地で包むのも、りんごを生地に並べるのも、一つひとつ人の手で行っているということです。
「パイ生地を1個ずつ手で織り込むことで、自然な凹凸にして温かみのある雰囲気にしています。りんごも手作業でドーム状に詰めてもらうことで、1カットに対して均一な量のりんごになります。機械だとこんなにきれいなケーキにならないんです」
青森県産 紅玉のカスタードアップルパイは、りんごの食感が程よく残り、口の中で酸味とスパイスが香ります。カスタードもしっかり入っているけれどしつこくなく、さっぱりとした甘さでりんごの芳醇さを引き立たせています。もちろん、パイ生地はサクサクです。
「毎年、ベストを尽くして、これ以上のベストってないというくらいのあくなき戦いを繰り返してレシピを開発しています。このアップルパイはその10年の年月の積み重ねで出来た味です」
アップルパイに生産地の想いをのせて
アップルパイには力強い応援団がいる。青森県弘前市内にあるスターバックスの店舗のパートナー(従業員)が2019年に結成した「りんご隊」です。
労働力や後継者不足に直面している青森県の特産品・りんごを途絶えさせないために、りんごの魅力を広く地元の人に知ってもらいたいと活動。りんご農家との交流や店舗でのりんごセミナーの開催、写真やコミュニティボードでりんごの情報を発信したりしています。
活動の中で、地元の人がりんごに誇りを持てていないのではないかと感じることがあるという。
「消費者からの『おいしい』のひと言が直接届く機会が生産者には少ないので、素晴らしいりんごを作っていることの実感が持てていないのではないかと思い、そこを解決したいと思っています。誇りを持ってりんごの未来が明るくなる世の中を作りたい」と、りんご隊の山中さんが想いを語ります。
スターバックスから発信することで、地元の若い世代を中心にりんごやりんご農家を身近に感じてもらうことをねらっています。
そんな4人に、発売前の「青森県産 紅玉のカスタードアップルパイ」を試食してもらった。お皿にのったケーキを見た途端、目を大きく見開いて歓声を上げる面々。
その様子をうれしそうに見つめる近藤さんは、りんご隊の活動の話に真摯に耳を傾け、感慨深げに語ってくれました。
「普段は冷蔵庫やステンレスなど無機質なものに囲まれて、窓のない部屋にこもってひたすら開発しています。頭ではわかっていた、商品の向こうにみなさんがいらっしゃるということ、つながりがあってこの商品ができていることをあらためて実感しました」
今年、商品名に「青森県産」と冠を付けたのには理由があります。
「りんごとしての知名度、信頼感があること。そして、青森の方々にも胸を張って、青森県産を使っていることをネーミングからも伝えたい」という近藤さんをはじめとする商品開発担当の想いからです。
青森県が誇るりんごの魅力と想いがいっぱいに詰まったアップルパイを、ぜひご賞味ください。